私は職業柄、道ですれ違う方、同じ方向に向かって前方を歩いている方の姿勢や歩き方についつい目がいってしまいます。特に気になってしまうのが、杖を使われている方です。 おおよそですが、杖を使っている方の3分の1くらいは杖の長さ、あるいは握り方が間違っているように思います。
杖の長さが長すぎると体重を十分に支えることができません。そのような状態で、杖を使って無理にカラダを支えようとすると手首を痛めます。逆に杖の長さが短すぎると体重を支えることはできますが、歩く姿勢が悪くなってしまいます。
ここで、杖の正しい合わせ方をご紹介します。
まずこちらをご覧ください
●杖の正しい合わせ方 杖の正しい選び方
一般的な杖の説明書には『身長÷2+3㎝』と記載されていることが多いです。 私たち理学療法士が学校で習う杖の合わせ方は3種類あります。
①足の小指の外側15㎝のところに杖を突いたとき、 肘関節が約30度の角度になる長さ
②床面から足のつけ根(大転子)までの長さ
③腕を垂直に降ろした時の手首(とう骨茎状突起)高さ
※①②③ともに履物を履いて立った状態で合わせて下さい。
身長を用いた合わせ方や、図1の②の方法で合わせると間違った杖の長さになりやすいです。その理由は身長を用いた合わせ方と②の大転子であわせる方法は手の長さや、腰の曲がり具合などが反映されにくいためです。一方、①、③で合わせると適切な杖の長さになりやすいです。特に③で合わせると杖を突いたときに自然と肘の角度が適切な30度になります。なぜ30度が良いかといいますと、上腕三頭筋という、主に肘を伸ばすために使われる筋肉が働きやすい角度だからです。そのため、自然と体重を支えやすくなります。
次に杖の握り方を写真で示します。
●杖の正しい握り方 ※杖は痛い、または弱っている足と逆の手で持ってください!
①と②は正しく、③の握り方は間違いです。
握り方、肘の角度で支える力がどう違うのか、実験をしました。 下の写真は、体重約50㎏の女性が全力で体重をかけた時の数値です。
・角度○は肘関節30度で設定しました。 ・角度×は肘角度45度で設定しました。
杖を正しく握り、もっとも自然な肘の角度(30度~40度)で杖を突くことで、しっかりと体重をかけることができます。
自分のカラダに合った長さの杖を使用し、歩行を安定させ、歩く喜びや、行きたいところへ出かけられる楽しみを感じて下さい。
ご自身の杖の長さを確認してみて下さい。
※医療機関で杖の長さを設定してもらった方は自分で長さを変更するのではなく、必ず処方した専門職の意見をお聞きください。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
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